(左)執行役員総務部長:中島誠さん (右)総務部総務チームリーダー :鉄田由美さん

  • ストレスチェックを職場環境改善に活用するために「 強みアドバイザー」を導入。社内コミュニケーション活性化の糸口が見えてきました。

  • アンデルセングループ

アンデルセングループは「人と人とのつながりを大切にできる組織づくり」への取り組みのひとつとして、2010 年にはシーズポートの、メンタルヘルスのケアを目的としたカウンセリング制度を導入、2016 年からはシーズポートのストレスチェック「職業はつらつ診断」を導入。その後、ストレスチェックを踏まえた職場環境改善として、同じくシーズポートの「強みアドバイザー」を導入し、社内コミュニケーションの活性化に力を入れています。
㈱アンデルセンサービス執行役員総務部長の中島誠さん、同総務部総務チームリーダー の鉄田由美さんに詳しいお話を伺いました。

  • アンデルセングループ

  • 1948年に広島で創業。小売直営店を運営する株式会社アンデルセン、「リトルマーメイド」をはじめとするベーカリーブランドのフランチャイズ展開を行う株式会社マーメイドベーカリーパートナーズ、石窯パンなどを小売店にお届けする株式会社タカキベーカリーを中心に、国内外15社で構成。
    安全安心のもとに作り上げた一つひとつの商品をお客様、お取引先様へお届けし、パンを通じてお客様の暮らしのお役に立ちたいと企業活動を続けています。量よりも質。規模の拡大ではなく、質的な進歩・向上を求め続けるクオリティベーカリーをめざしています。

     

    グループ関連店舗数:全国約370 店舗(2019 年4 月1 日現在)
    グループ全体従業員数:
    グループ全体社員数:1,916 名(2019 年4 月1 日現在)
    URL:https://www.andersen-group.jp/

  • 目的

  • ストレスチェックの結果を職場環境改善につなげ、
    社内コミュニケーションを円滑にし、働きやすい
    職場をつくるため

  • 課題

  • 職場環境改善はしていきたいが、グループ会社それ
    ぞれの特性もあり、どこから手を付けるとスムーズに
    進められるか解決策を探していた

  • 効果

  • 同じ職場で働く人たちが、どのような「強み」を持って
    いるのか、お互いを理解してスムーズなコミュニケーショ
    ンができる職場環境づくりにつなげていく

職場環境改善は、具体的に何をしたらいいのか?
どこから手を付けたらいいのか?が見えていなかった。

ー 職場環境改善に取り組むうえで、社内の課題はどこにあるとお考えでしたか?

中島誠さん(以下、中島さん):キーワードは「コミュニケーション」だと考えています。私は、パワハラやメンタルサポートといった言葉がない時代に育ちました。インターネットやスマートホンが普及し、人と人、世代間のコミュニケーションの取り方、スタイルはどんどん変わってきていると実感しています。風通しの良い職場環境を作るうえで、お互いのコミュニケーションが大切なこと、その基本や本質はどんな時代でも変わりませんが、育つ環境が異なれば価値観やライフスタイルは当然変わります。このことを理解したうえで、どのようにしてお互いの人間関係を作りあげていくかが求められていると思います。上司から部下へのちょっとした一言。役割や指示を丁寧に伝えたりフォローすることを少し意識して取り組めば、もっと働きやすい、ストレスの少ない職場環境につながると考えています。ただ、どこから手を付けたらよいのか、そこが見えていない状態でした。

「世代間のコミュニケーションギャップもきっと改善できる」

「強みアドバイザー」を社内に導入したことで、
コミュニケーションのきっかけづくりができています。

ー 強みアドバイザーを導入したのはどうしてですか?

中島さん:職場の皆さんがお互いの「違い」を理解し合うことができるとコミュニケーションが円滑になり、ストレスを軽減させることにつながるだろうと考えたからです。その解決策のひとつとして、強みアドバイザー講座に参加してみました。
シーズポートさんの強み診断を受けて、私自身も、自分がどのような強みを持っているのかを改めて認識することができましたね。また、一緒に働くスタッフにも診断を受けてもらうことで、どのような強みを持っているのか、より明確になりました。アドバイザーとしての知識はこれからもどんどん深めていきたいですが、「強み」について体系的に理解を深めることにより、よりスムーズにコミュニケーションがとれる職場づくりに役立てることができると考えています。

強み診断をグループ会社の社長を含めた管理職に実施。
自分と他人の強みがわかると、関わり方も変わってきます。

ー 強み診断の結果はどのようなシーンで活用できそうですか?

中島さん:やはり相手のことがより理解できる、というのが大きいです。グループ会社のひとつで、社長を含めた管理職に強み診断を実施し、診断結果も活用しグループワークも行いました。その結果、各人の強みが理解でき、それぞれの物事の考え方、受け止め方の違いも見えてきました。このことを活かして、仕事の進め方、チームのまとめ方などを良い方向に変えていけると期待しています。

 

また、私の部門では今までにない新たな取り組みにチャレンジしているのですが、担当スタッフは、新しいものを創り出す仕事にぴったりの強み『創』を持っていました。新しいことなので、どうしても躊躇する人が多い中で、リーダーシップを発揮して柔軟に対応してくれています。
鉄田さんの強み『結』を知ったときも、まさにその通り、と思いましたね。人の輪をつくるのがうまいし、自然とまわりの人への気配りもできる。仕事を進めるうえでとても助かっています。こうして強み診断やグループワークにより、この人の強みはこれなんだな~とわかると、仕事の役割分担や関わり方も良い方向に変えていけると考えています。是非グループの皆さんに体験してもらえるよう取り組んでいきたいです。

 

鉄田由美さん(以下、鉄田さん):まずは日々の生活の中で自分の強みを意識することが大事ですよね。意識できていれば、ちょっとしたときに、自分を客観的に見ることができたりしますから。

 

中島さん:まさにそうなんですよ。役職間や世代間のコミュニケーションのギャップはどうしても避けられませんが、人と人との関わりで求められる本質的なところは変わらないと考えています。そこが客観的にわかるところに、この強み診断の良さがあると思います。先日、社外の方々とグループワークを実施したときに、中国人の方がいました。中国では漢字を使いますから、カードワークや強み診断の結果が同じように共有できるんですね。「違和感なくできますよ」と。イメージ・感覚的に理解しあえるところがありますので、世代や国を越えて使えるツールなんだ、とその可能性の広がりを感じました。

ー 具体的には強みアドバイザーとして、社内でどのような活動をされていますか?

「強みカードワークは自他の強みを認識できます」

中島さん:強みのカードワークですね。自分の強みを相手から伝えてもらうことで新たな気づきもありますし、相手の強みも理解できるようになります。何より、ワーク中の皆さんに自然と笑顔が出てくるのがいいですね。短いときは30 分くらいの時間なんですが、そういった場を設定してあげると、仕事を離れて頭の切り替えができ、非日常というか「非職場」の場で、お互いを理解しあえるのがいいですね。

 

鉄田さん:カードワークに参加する人には、事前に周囲の人から自分の強みを、ヒアリングしてきてもらうんですけど、それだけで、相手への信頼が深まったり、自己肯定感が高まっている人もいましたね。

中島さん:そうなんですよね。大変失礼なことですが、私は、その方はヒアリングなんてやってこないタイプの人だと思っていました。社内でも立場が上の方ですし、一見怖そうな人ですから(笑)。きっと周りからは、仕事に厳しく、カチッとした人だと思われているのではと。でも、一緒にカードワークに参加したメンバーは、職場では想像できなかったその方の強みや魅力に生で接することができました。これからは、相談や質問もしやすくなるでしょうね。こんなふうに、お互いの内面を分かり合う機会は、日常業務の中ではあまりありません。どうしても立場や配置の壁をはさんでのコミュニケーションになってしまいます。その目に見えない壁を取っ払ったコミュニケーションの素地を、このカードワークで作ることができます。このことが、より働きやすい職場環境につながっていくと考えています。

 

鉄田さん:強みは行き過ぎると「裏強み」になってしまいます。お互いの弱点について、強みをふまえて気軽に話し合えていいですよね。中島さんは、1番の強みが『起』で、リーダーとしての行動力があり、新しい仕事にも果敢に取組まれるのですが、裏強みが「深く考えず、イノシシのように突進する」ですからね(笑)。「中島さんちょっと待ってください~~。今、『起』が出すぎてますよ」って、たまに部署のメンバーと、思っちゃうことがありますから(笑)。

 

中島さん:ついスイッチ入るとそうなっちゃうんですよ、気をつけないと(笑)。でも、こうやって、思ったことを素直に言ってもらえるのも、強み診断、カードワークのおかげです。ありがたいです。

研修のためにまとまった時間を作るのはむずかしい。
でも、カードワークなら短時間でも浸透させていける可能性がある。

ー 強みアドバイザーとして活動していくうえで、何か課題はありますか?

中島さん:時間ですね。本来であれば、1 ないし2 時間くらい時間を確保して、しっかりみんなで一緒にやれるといいんですけど。正直申し上げると、現場ではそれほど時間が取れない。うまくこの取り組みを社内に広げていくには、それぞれの現場、それぞれの部署に合ったやり方で進めていかなければと考えています。

 

鉄田さん:この取り組みを広げていくための方法として、強みカードワークに可能性を感じています。目的や対象者に応じて進め方を工夫し、できるだけたくさんの人に体験してもらいたいと考えています。

 

中島さん:強みを使ったカードワークの目的など基本的なポイントはしっかり押さえて、短時間でもできるスタイルを見つけていきたいです。強みアドバイザーは強みについて正しく理解したうえでやり方を工夫していくことが必要です。このあたりは、今後もシーズポートさんのアドバイスやサポートを頂きたいところです。

ストレスチェックの流れの中で、実感の伴う職場環境改善につなげていく。

ー 職場環境改善への取り組みは、どのような成果を目指していますか?

中島さん:働く皆さんに、職場が良くなったな、と実感してもらいたいです。皆さんがよりイキイキと気持ち良く働ける職場を目指しています。生産性を向上させ、離職率を抑えることも重要なので、職場で何がストレスになっているのか、どこに課題があるのかを、ストレスチェックを使って確認しています。ストレスチェックを毎年継続してやっていく中で、傾向として変化している点もあれば、変わらない点も確認できます。その結果に応じた適切な対応をしていきたいと思っています。
ただし、ストレスチェックには制度上の特性があり、ある程度の大きな傾向や課題は見えますが、個別の課題解決には適さない側面もあると理解しています。ストレスチェックの特性を正しく理解したうえで、職場環境改善にうまく強みアドバイザーの力を活用していきたいです。

ストレスチェック結果を「実感できる変化」につなげたい

ー 今後のシーズポートに期待していることは、どのようなことでしょうか?

中島さん:現場の皆さんが、元気を取り戻せるよう、あるいは職場に復帰できるよう、メンタルヘルスの専門的なサポートが必要なときがあります。また、元気はすでにあるから、さらにモチベーションや生産性を高めていくための、メンタルタフネスについての支援が必要なときもあります。いずれも、とても重要なことであり、これからもシーズポートさんには確かな専門性に裏付けられた幅広いサポートを継続してお願いしたいと思っています。

ー ありがとうございました。

実際にワークを導入してみて

秦野工場での強みワークの様子

中島さん:秦野工場のメンバーと初めてカードワークを行いました。正直、どのように受け止められるか、今まで(関心が高いメンバー)のように積極的に取り組んでもらえるか、不安の中で始めました。ところが、始めてすぐいらぬ心配(杞憂)であることを確信しました。メンバーから自然と笑みがこぼれ、とても興味深く前向きに取り組んでもらえました。これまで職場で、あるいは職場以外でも色々な話はしてきましたが、お互いの人間性や思いについて話すことや聴くことはありませんでした。とても新鮮でした。お互いのコミュニケーション、理解が深まり、これからの勤務にも好い影響があると思います。
といった声が聞けました。まさに最初の一歩(半歩)でしたが、次に向けて少し自信が持てた一日でした。少しずつ広げていこうと思っています。

2020年9月掲載