左から:管理部総務グループリーダー 竹中亮一さん / 代表取締役社長 佐伯祐二さん /管理部総務グループ 川尻清志さん

  • 総務や執行役員とタッグを組んだコーチングがメンタル面の不調予防と組織のコミュニケーション改善につながっています。

  • 株式会社 ミカサ

バレーボール用の競技ボールで知られる株式会社ミカサ。創業100周年を越え、次の100年を作る人材育成のために、2011年よりシーズポートのコーチングを導入。その後、シーズポートのストレスチェック「職業はつらつ診断」の57項目を導入。そして2019年から、職場の状況をより深く把握するため、ストレスチェックを80項目に変更。 代表取締役社長 佐伯祐二さん、総務部総務課課長 川尻清志さん、総務部総務課 竹中亮一さんに詳しいお話を伺いました。

  • 株式会社 ミカサ

  • 1917年に広島で創業。ゴム製品の製造から発展し、現在は工業用品とボール・スポーツ用品を中心に事業を展開。バレーボール・ビーチバレーボール・水球は世界各国の連盟から公式球としての認定を受け、「MIKASA」ブランドとして150以上の国と地域で使用されています。次の100年に向けて、人材育成をはじめ様々な新しい取り組みにチャレンジしています。

  • 目的

  • メンタル面の予防・ケアと共に、
    仕事を前向きに捉える視点をもつ社員を増やすこと

  • 課題

  • 社内で活発に議論ができるコミュニケーション能力を身につけること。
    成果を出すために自ら考え、自ら動く風土を作っていくこと。

  • 効果

  • 総務・部門長と連携を取り、適切なメンタル面での予防ができている。
    会社の伝統を守りながら、新しいことへのチャレンジを止めない動きの
    支援をしてもらえている。

コミュニケーションの課題は根深いけれど、
次の100年のために解決していかないといけない。

ー 職場環境を良くするために、社内の課題はどこにあるとお考えでしたか?

「時代の変化にあわせて、一人ひとりが変わっていく必要がある」

代表取締役社長 佐伯祐二さん(以下、佐伯さん):コミュニケーション能力です。たとえば社内でも、メールや電話で伝えて問題ないことと、会って話したほうが良いことの区別ができていないことがあります。コミュニケーションの能力アップは、会社を変えていくうえで課題のひとつですね。100年の歴史がある会社ですけども、残すべき良い点は残し、変えるべき点は変えていく。時代が変わっていく中で、今までと同じようにやっていてはダメなところは改革していく必要があります。コミュニケーションの能力が上がれば、無用なストレスも減りますし、より価値のあることに力を注げると考えています。

 

竹中亮一さん(以下、竹中さん):執行役員や課長クラスが「最近あの人、様子がおかしいな」と思ったときや「あの人のここは直してもらいたいなあ」など困ったことがあったとしても、直接本人に声をかけられないようなケースがあります。コミュニケーションが上手に取れるようになれば、意思疎通もスムーズになり、会社を良くするための議論も活発になると思いますので、コミュニケーションの課題は大きいと感じています。

総務とタッグを組んでくれるコーチングのスタイルは、
メンタル面の予防にもつながるのでありがたいです。

ー シーズポートのコーチングを導入した結果はいかがですか?

佐伯さん:単なる悩み相談というよりも、どうしたら前向きに仕事ができるか?という視点で関わってくださっているので大変ありがたいです。仕事の中で出てくる壁を乗り越えて行く方法はたくさんあります。それを自分で考えて解決していく為のサポートをして頂けています。

 

人間はなかなか本音が言えないところもありますから、総務や執行役員とタッグを組んで、関わるべき人に関わってもらえている点もありがたいです。職場の人間関係など、ギクシャクしたところが積み重なると、心の病につながることもあります。早め早めに話を聞く機会をつくり、心をほぐし、社内の人間関係をほぐしていく。総務と信頼関係を作って進めてくれているので助かっています。

「何か変化を感じた時や予防のためにもコーチングを利用しています」

川尻清志さん(以下、川尻さん):コーチングを導入してから意外だったことがあります。実はみんな嫌がると思っていました。「面談に来てください」と伝えれば、絶対に「え〜〜っ」と言われると思っていました。でも違いました。みんなけっこう話すんですよね、先生に。話しにくいだろうと予想していましたが、全然そんなことはなく、いい意味で意外でした。

 

無口なタイプの人も先生には話をできていますので、ちょうどいい距離感で話を聞いてくださっているなあと感じています。異動や体調を崩したときなど、変化があったときに面談を入れるようにしていますので、今もっとも面談が必要な人を見極める人選に、責任とやりがいを感じます。

面談者は元気になるし、周りがその面談者に対してどう接したら良いかも教えてくれる。
前向きに仕事に取り組める関わり方をしてもらっています。

ー 具体的にコーチングの効果を感じたのはどんなときですか?

竹中さん:メンタル不調につながりそうなポイントも含めたコーチングをしてくださっている点が、非常に効果的だと感じています。紐解いていくと、直接的にメンタルが関係なくても、メンタルの不安につながることがある。おかげさまで、体調不良で治療に入った方が、前向きに治療に取り組むきっかけを作っていただき、元気になって帰ってきてくれている事例も出てきています。

 

また、職場に戻ってくる方や、面談者への接し方を具体的に教えて頂けることも助かっています。先生が面談者から話を聞いてくださることで、面談者自身は気持ちが楽になり、今後の働き方のヒントを得て変化が起きるわけです。しかし周りの私たちは、どう変化したら良いかがわからない。そこで先生は、シンプルに私たちができる方法で、「こうやって声をかけてあげてください」と明確に対応方法を教えてくださる。先生からのアドバイスを、総務から現場の部門長に伝えることもあるのですが、先生は各部門長とも信頼関係を築いていいただいているので、「え、そんな方法でいいのか?」「それでいいみたいですよ」「よし、じゃあやってみるよ」と、素直に取り組んでもらえます。そうやって組織のメンタル面について、総務と部門長がやりとりできる流れもできていて、とてもありがたいです。

自分のメンタルをどのように整えたらいいのか?そこを示してくれるコーチングは、これからのミカサにとって大きな支えになると考えています。今は会社に新しい風を入れるため、若手の中途入社も増えてきています。過去から培ってきた伝統と、新しい風がぶつかるときも当然あります。でも新しい風にストップをかけていると、次の100年に向けた新しいものは生まれない。先生からアドバイスを頂く中で、新しい風を止めずに、前に進めていこうと考えることができています。

 

佐伯さん:会社が対応できることがある場合は、面談者に率直に伝えてくださっているところも感謝しています。「会社は怒らないから言ってみなよ、言っても大丈夫だよ」と面談者に促してくれている。もちろん自分の足で立ってもらいたいですが、ひとりで抱えて悶々と心を痛めるよりも、相談してくれるなら会社ができることもありますから。伝えるきっかけを作ってくれていることはとてもありがたいですね。

「ひとりで悩まず、まずは伝えてほしい。
コーチングはそのきっかけにもなっている。」

社内ではマイナスイメージの強かったストレスチェックを80項目に切り替え、
ワーク・エンゲイジメントにも目を向ける。

ー ストレスチェックを57項目から80項目に切り替えた理由は何でしょうか?

竹中さん:部門長が、自分の部署の強みや特徴に、目を向けることができる職場づくりをするためです。明るくいきいきと働ける環境を作っていきたい。先生に相談させて頂くなかで、57項目ではどうしても病気や、弱い点の原因を探ることになると知りました。

 

80項目でやると、職場の強みやどこまでやれているのか、なども出てきます。目に見える形で結果が出てきますので、部門長も自分たちが働いている職場を客観的に見ることができて、「こんなところに良いことがあるんだな」と前向きに捉えてもらえることを期待しています。

 

80項目の結果を活かした職場づくりをするために、講習もお願いしたいと考えています。この会社は自分たちが色々できる場所なんだ、そんな気持ちにつなげていきたい。部門や役職や年齢を越えて、コミュニケーションを取りながら仕事ができると、ミカサに一体感が出てくると考えています。人それぞれ仕事に対する価値観はありますが、やりたい人がやりたい仕事を提案してやっていける。そういう職場にするために、セルフマネジメントを含めた、仕事のもっていきかたを今後もコーチングして頂きたいです。

 

ワーク・エンゲイジメントの視点で言えば、今年度より新卒者向けの研修をやって頂き、大きな効果があったと感じています。まずは、純粋に楽しそうに研修を受けてくれていたことが、私の立場として嬉しかったですね。参加者は自分を客観的に見たり、それを自分の言葉で表現したり、自分がどういう人間なのか周りの人に聞いてみたり、良い機会だったと思います。この経験が、実際の仕事のコミュニケーションでも活かされると思いますので、効果のある研修をして頂けて感謝しています。

みんなでアイデアを出しながら、会社にとって良いことは何か?と
議論して動いていって欲しい。

ー 今後はどのような成果を目指していますか?

佐伯さん:若干、責任放棄のように聞こえるかもしれませんが、極論を言えば最後の最後は自分の力で乗り越えるしかない。自分の中で気付いて、自分の力で解決していく。そのためのセルフマネジメントであり、自分の持っている力を自分で引き出せるようにしていく。コミュニケーションの能力も含めて、壁を乗り越える経験を積んで、下の世代にその経験を教えていける組織にしたい。シーズポートさんのコーチングを通して、どうしたら前向きに仕事ができるか、もうちょっとがんばったらこうなるという感覚、そのあたりを掴んでいって欲しい。

 

竹中さん:自分たちで会社を良くしようとする意欲が自然と生まれる職場にしていきたいですね。具体的には、自分でこうしたい、ああしたいと考えながらやれるといいなと。社員の皆さんのそういう気持ちを支えて、高めていくことができればと思っています。コーチングでの本当にちょっとした一言で、仕事の取り組みへの捉え方が変わるので、小さな気付きを大切にしながら進めていきたいです。

ー 今後のシーズポートに期待していることは、どのようなことでしょうか?

「専門的な知識でアドバイスをもらい、
能動的な人が増えることを期待しています」

竹中さん:メンタルの知識をもつ先生方にコーチングして頂きながら、前向きに、自発的に活動できる人を増やしていきたいです。私がシーズポートさんを好きな理由は、コーチングや面談の際に、単純作業のように機械的に進めるのではなく、会社や面談者の気持ちを汲みながら進めてくれる。そういった温かみのあるコミュニケーションをこれからも期待しています。

 

川尻さん:会社が変わってきていると実感していることがあって、ここ1年くらいで、社内であいさつをする姿が増えています。当たり前だと思われるかもしれませんが、コミュニケーションの面で良い影響が出ているのかな、と感じています。コミュニケーションの課題はまだまだたくさんありますが、ストレスチェックの結果を活用しながら、新しい風がストップしないようにご支援いただきたいと思います。

佐伯さん:私は危険予知です。何かがおかしいとき、やっぱりアラームが出ているものです。そこに気付いて欲しい。みんなで検知できるようになっていきたい。もしかしたら家庭の問題だって、会社が解決できるかもしれない。ひとりでグルグル考え込むと辛いだけのこともある。ちょっと愚痴を言える場所として、メンタル面の予防につながる動きも期待しています。総務や執行役員とシーズポートさんがタッグを組んで、社長に言いにくいことも拾いつつ、自分の足で立って動いていく人を増やしていくご協力を頂きたいです。

ー ありがとうございました。

2020年9月掲載