(左)管理部長 大塚貴昭さん (中)営業部開発営業担当課長 五閑大輔さん (右)管理部総務・人事グループ主任 稲垣真希さん
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「強み」の活用はメンタル面・
コミュニケーション面でタフな個人・
タフな組織づくりにつながっています。 -
株式会社 竹中工務店
日本を代表するスーパーゼネコンの1社として知られる竹中工務店。広島支店では、社内の変化・時代の変化から生じるコミュニケーション課題、メンタルヘルス面の改善のために、シーズポートのメンタルヘルス研修、新人研修、「強み診断」などを導入。管理部長の大塚貴昭さん、営業部開発営業担当課長の五閑大輔さん、管理部総務・人事グループ主任の稲垣真希さんに、導入の経緯や効果についてお話を伺いました。
株式会社 竹中工務店
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社内のメンタル面とコミュニケーション面を改善していくため、社員組合と共催で「パフォーマンス発揮シリーズ」を展開。単年の研修ではなく、数年越しでメンタルヘルスの研修会を開催していくことで、自己肯定感を高め、お互いを尊重し合える組織づくりを実践中。
目的
自分を知ること、他者を理解することを通して、お互い
を支え合いながら力を発揮できる組織づくりをする
課題
それぞれが自分の支えとなる軸を持って、周囲と良質な
コミュニケーションを取りながら働く職場を作ること
効果
ワークライフバランスに関する新しい制度を運用してい
く際に、強みを通してお互いを理解していくことで、社
内に「お互い様」と思える土壌が作られはじめている
より少ない時間で、より効率良い働き方を模索する中で、
社内のコミュニケーションが薄くなってしまっていた。
ー 社内のメンタルヘルス面を良くするために、課題はどこにあるとお考えでしたか?
「次の取り組みは、楽しく取り組めるものにしたいと思っていました」
稲垣真希さん(以下、稲垣さん):社内の雰囲気が変わり、コミュニケーションがお互いに取りにくくなっていたことです。ストレスチェックの義務化が始まる前に、何かメンタルヘルスに関する取り組みはしないといけないと考えていました。でもどうしてもメンタルヘルスは暗い印象があるので、何か楽しいものにしたいなあ、と考えている時期に、ある女性社員から相談を受けました。「稲垣さん、社内の雰囲気が最近気になる、どうしよう」という相談です。私がなんとなく感じていたことを、その女性社員が話してくれました。そのときに、これは何か行動を起こさないといけない、と思いました。職場の雰囲気が暗い、話しかけにくい、楽しくないというような話でした。
大塚貴昭さん(以下、大塚さん):竹中工務店は全国に支店があって、広島支店には230人くらい在籍しています。広島支店はいわゆるアットホームな支店で、みんなお互いの顔も知っているし、家族のことまで知っているような関係もありました。他店と比べると決して大きくはないけど、みんなでがんばっていくぞ、という雰囲気ですね。そのような中、人材育成のために今まで以上に人事異動も活発になり、色々な考えを持つ人と一緒に働くようになった。それぞれがやるべき仕事を進めるために、仕事にしゃかりきになっていきました。ちょっと心に余裕がなくなったところがあったと思います。お客様からも社会からも、仕事に求められるレベルは高まり続けますから、それに応えるためにはかなりのパワーが必要です。それと同時に、ワークライフバランスだったり、生産性をいかに高めるかだったり、環境に変化が生じました。より少ない時間で、より効率よく仕事をやろうと各自が工夫します。その結果、お互いのコミュニケーションが減ったり、心の余裕がなくなったりしました。そういうギスギスしたところを、その女性社員が感じ取って、稲垣さんに相談したのだろうと思います。
ひとりひとりの強さ、組織としての強さを高めること。
コミュニケーションの世代間ギャップを埋めること。
そのためにまずは「自分自身を知ろう」という意図で強み診断を取り入れました。
ー シーズポートの強み診断を導入してくださったのはどうしてですか?
稲垣さん:ひとりひとりが強くならないといけないし、つぶれてはいけないと思ったからです。同時に、個人を支える組織としての強さも、今まで以上に必要だと感じたからです。私は保健師という立場ですから、みなさんと面談をして、お気持ちや職場での問題は定期的に伺っていました。でもそれは、個人で解消できるような相談がほとんどでした。会社全体としての動きではありません。だから組織として改善していけるように、数年かかってでも何とかしないといけないと思いました。そこで、まずはメンタル不調者への早期対応にテーマを絞りました。そして翌年は、メンタル不全にならないためにはどうするか?をテーマにして取り組みました。そのために、自分自身を知ろうね、という考えで「強み診断」を取り入れたのです。自分の心身に何かあったときに、支えになってくれるものを知ろう、という意図です。自分が苦しいときに立ち向かっていけるようになるので、そこを知ってもらいたいと考えました。将来的にもし今のこの仕事を離れても、仕事もプライベートもうまくいってほしいから、自分の軸をしっかり持って欲しいと思いました。そのために自分自身の「強み」を知ることが必要だと考えたんです。
「世代間ギャップには強み診断が相互理解の
きっかけになると考えました」
大塚さん:「強み診断」で自分や同僚の特徴がわかってくれば、コミュニケーションの世代間ギャップを埋めることにつながると考えました。就職氷河期の影響もあって、30代後半から40代前半くらいの年代がぽっかり空いてしまっています。40代後半の社員と30歳くらいの社員では、お互いが歩み寄ろうとしないと、やはりコミュニケーションのすれ違いが生まれてしまう。この業界の特徴かもしれませんが、上の世代は「先輩を見て自ら学べ!」という気質がなんとなく残っています。反面、下の若い世代は目をかけてもらって当然だと考えているところがあります。先輩は後輩に声をかけないし、後輩は「なんで話しかけてくれないの?」と思っている。そういうギャップを、お互いを知ることで埋めていき、コミュニケーションが活発になれば雰囲気が良くなるのではないかと考えました。
心にダメージを受けたときも、踏みこたえられるように自己肯定感を高め、
「ワーク」も「ライフ」も充実させていくために強み診断を選ばせていただきました。
大塚さん:やっぱり自己肯定感をしっかり持っていないといけない。「自分は存在していいんだ」「自分には価値があるんだ」と思えないと自信が持てない。何かバーンと大きなダメージを受けたときにも、踏みこたえるためには自己肯定感が必要だと思います。自分の人生を、つまり、ワークもライフも充実させていくうえで、「強み診断」でわかる強みは魅力的だな、ということで導入させて頂きました。
五閑大輔さん(以下、五閑さん):社員組合としての立場で言いますと、社員組合の活動の目的は、職場環境を良くすることだけではありません。仕事とプライベートの時間、どちらも活き活き活躍できるようにとの思いで活動しています。その目的に「強み診断」の導入が合致するので、非常に共感して、社員組合も一緒に取り組んでいきたい、ということになりました。
「強み診断の導入が社員のワークライフバランス向上にもつながる」
稲垣さん:社会的にワークライフバランスの大きな流れが来る前に、どこか良い会社さんにお願いしたいと考えていました。良い会社さんであればあるほど、すぐに依頼がいっぱいになって頼めなくなってしまうからです。それで色々な会社さんの中から、シーズポートさんにお願いすることにしました。まずは強みを使って、自己肯定感を得る。すると心に余裕が生まれて、他者の良いところを見て、相手を理解しようとする。他人を理解できれば職場のコミュニケーションも活発で円滑なものになる。そして、お互いを尊重できるようになる。そうなればこの広島支店が強くなっていくと考えました。
最初は「強みなんて知って意味あるの?」と思っていました。
しかし、自分も他人も理解していくことで「お互いさま」と思い合えるようになり、
作った制度を活用していく風土づくりにつながっています。
ー 強み診断をやった結果、どのような変化がありましたか?
五閑さん:強み診断をやる前とやった後で、印象はかなり違っていますね。最初は「そんなことやってどうなるの?」と全くイメージがわきませんでした。でもやってみると、自分のことを冷静に分析できるツールだとわかりました。強み診断の結果をもとに、二人一組でやるワークでの気付きも大きかったです。他人から自分について言われることで、初めて自分を知ったりする。周りからはそう見えているのか、と。研修をすることで、相手を見る、相手に興味を持つ機会になるので、心にゆとりを持って仕事をしていく良いきっかけになったと思っています。
大塚さん:そういうきっかけがないと、相手の良いところを伝えたりすることがなかったので、良い機会でしたね。いま会社では、時短や介護など、福利厚生に関わる制度が新しく作られ充実してきています。しかし制度を使うと、その分を穴埋めしてくれる人が必ず必要になるわけですよね。だから、「自分が休んだら誰かに迷惑かけちゃう、制度が使えない」と躊躇してしまうことも考えられます。でも、強みを知ることを通して、お互いの気持ちや状況を理解できれば、お互い様だと思う気持ちが強くなる。作った制度に命を吹き込む土壌になってきているのかな、と感じています。「私も使うけど、あなたも使うときは言ってね」というムードづくりになっているなあ、と。
稲垣さん:あまり話したことのない人を知るきっかけになっていますね。普段は業務指示しか言葉を交わさないけど研修のワークで話ができて良かった、という声がありました。「あの人の強みは『謙(けん)』だから、いつもあえて黙っているわけではなくて慎重な人なんだ、コミュニケーションを取りたくなくて拒絶されてるわけじゃなくて、聞けば答えてくれるし、質問して大丈夫なんだ、それがわかった」という感想でした。こうやって相手の人となりがわかれば、コミュニケーションも取りやすくなって、今よりも働きやすい職場になるので、どんどん社内で広まっていけばいいなと考えています。
個人的な希望としては、竹中グループの全員が「強み診断」をやって欲しいと思っています
ー 今後はどのような成果を目指していますか?
稲垣さん:まずはもう一度、自分の強みを見直すところからです。数年がかりのプロジェクトですので、最初の頃のことは、たぶんみなさん忘れてしまっている。繰り返し繰り返し、手を変え品を変え、浸透させていきたいです。また、今は広島支店だけで「点」としての活動ですので、それが「線」になり「面」になっていくように活動していきたいです。九州支店にも広島支店の活動を紹介して、強みに関する活動をはじめると聞いていますので、広島支店の「点」の活動が、少し広がってきたなと感じています。私の個人的な希望としては、竹中グループの全員が「強み診断」をやって欲しいと考えています。そうすれば、自分の軸も作っていけるし、他者理解、他者尊重につながり、会社としての強さも作っていけると考えるからです。
大塚さん:自分の支えとなるものを手にしていって欲しいですね。「あなたにはこういう良いところがあるよ」と、なかなか他人に言ってもらえることは少ない。だから自分の良さを知って、メンタル面での支えとなるものを得て欲しい。コミュニケーションの面でも、ハラスメントを意識しすぎて声をかけることを躊躇してしまうことがある。強みを使って、自分のことも相手もことも理解し、お互いに尊重し合いながら、コミュニケーションをする、歩み寄っていける組織にしていければと思いますね。
ー 今後のシーズポートに期待していることは、どのようなことでしょうか?
「強みやメンタルタフネスを活用して、
一人ひとりの人生をより豊かにしていきたい」
稲垣さん:もっと強みを広めて欲しいです。広島発であることが嬉しいし、日本人の感性に合ったものとして展開していけると思っているので、もっともっとメジャーになって欲しいです。そうしたら「診断やってないところはダメだよ!」と、もっと社内で勢いよく言えるようになります(笑)。シーズポートさんの「強み」はいいときばかりじゃなくて、強みが弱みになっていることもわかる。そういうところがわかると、人生が豊かになるというか、タフになって、折れない心を作っていけると考えているので、とても期待しています。
大塚さん:メンタル面において、より所があることは非常にありがたいです。仕事はハードだし、環境もすごく変化しています。今は心身ともに健康を保てている人も、いつ不調になるかもわかりません。そういうときに頼れる心のより所を提供して頂けることを、これからも期待しています。
五閑さん:社員組合としては、仕事もプライベートも充実できる環境をつくることが目的です。2014年から継続してやって頂いていて、自分を知ることにおいても、周りの人を知ることにおいても、非常に良い機会を作ってもらえていると思っています。以前と同じ内容でも、新入社員向けにやって頂くことは良いことだと思いますし、新しい内容のものがあれば、どんどん提供してもらえたら嬉しいですね。
ー ありがとうございました。
2020年9月掲載